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agrizm No.19 ミヤサイさん

福知山で自然の力で美味しい野菜や雑穀を育てているミヤサイ さんご夫婦。八年前に移住し、就農して始めの二年間は、実った作物が収穫目前にして鳥獣被害に遭ってしまう事もあり大変だったという。電気柵を設置し、更に網を張るなどの対策をして、農薬や化学肥料を使わず、有機肥料も極力使わないというこだわりで、年間約50種類栽培。今では、リピーターも増え、直接お客さんの元へ野菜の配達もしている。
「ネット販売もいいけど、直接渡した時のお客さんの反応が見られるのが嬉しい」と話すご主人。自然と向き合い、野菜本来の力と味をそのままに、美味しい野菜を育て届けている。
農業をするため移住したいと言うご主人に「鳥が飼える事を条件にOKした」という程、鳥好きの奥様は、結婚する前からインコと一緒に暮らしている。以前は、小鳥たちのため、安心して食べられるシードをネットで探し購入していたが、農薬や肥料を使わず育てた国産の稗や粟は希少だ。だったら自分たちで納得できる物を作ろうと雑穀の栽培も始めた。栽培の様子をインスタグラムやフェイスブックで公開すると、愛鳥家から購入したいと依頼が来ることもある。大切な『家族』だからこそ良質なものを選びたいというのは飼い主共通の思いなのだ。
また、農業をしながら古民家の改修も行なっている。漆喰を塗る工程や窓枠にガラスをはめ込む作業など、できる事は自分たちの手でする。
「古民家が綺麗になったら、ワークショップや料理教室など、みんなが集まれる場所にしたい。」と楽しそうに話してくれた。
ミヤサイ さんの野菜は、ABAKES(エーベイクス)のお菓子に使われている。お味噌などの加工品は、『お土産と喫茶 足立』で購入できる。また、ワンダーマーケットが再開され次第出店する予定だ。

agrizm No.18 2525農園さん

福知山市三和町で新規就農し、ご夫婦で万願寺とうがらしと京都大納言小豆を栽培している2525農園さん。 ご主人は徳島出身、奥様は大阪で看護師として働いていたが、農業がしたいというご主人の夢を叶えるため移住を決意。三和町川合地区のお試し住宅で一年間、田舎暮らしを体験し、ここでの暮らしを決めた。
農業を始めた頃、トンネル栽培でビニールを緩く止めてしまい、春先の強風で片方から舞い上がり、今にも飛んで行きそうに…。必死でビニールを抑えていたところ、近くに農園のあるSeasonさん(8月号掲載)が、その様子を見て助けに来てくれたという。周りの方々の優しさにたくさん支えられたと話すご主人。徐々に軌道にのり始め、今年はハウスを三棟建て、昨年まで露地栽培をしていた万願寺とうがらしをハウス栽培に変更。収穫量が一気に増えた。また、京都大納言小豆の栽培にも力を入れ、昨年は、売れ行きも好調だった。丹波霧が発生するこの場所だからこそ美味しい小豆が育つ。口当たりがよく風味豊かで、甘みが強いのが特徴の京都大納言小豆は、高級和菓子にも使われている。「購入された方から赤い宝石だと言っていただけたのが嬉しい」と奥様。機械に頼らず手作業・手選別にこだわり、手間はかかるが、その分ロスを最小限に抑えることができる。ひとつひとつ丁寧に選別された小豆は、11月中旬ごろから、食べチョクやポケットマルシェなどネット販売で購入する事ができる。また、11月中旬から12月ごろまでは小豆の収穫体験を開催する予定だ。詳細はインスタグラムで告知する。
「まだ手がつけられていない場所があり、今後はそこにハウスを二棟立てる予定。まだまだこれから!」と力強く、そして楽しそうに語ってくれた。

agrizm No.17 ことのはファームさん

丹波市春日町で新規就農し、化学肥料や農薬を使わず安心して食べられる野菜を育てている、ことのはファームの善積さんご夫婦。趣味のトライアスロンで健康に気を使うようになり、安心して食べられる栄養価の高い野菜を自身で育てたいとの思いから農業の道へ。現在は、こだわり抜かれた新鮮な野菜を届けるアスリートのカラダ作りのサポートも行っている。ホームページからも購入可能で、「旬の丹波野菜詰め合わせ」は、5〜8種類入っており、苦手な野菜が入らないようチェックできる項目が設けられている。畑には、珍しい種類も多く、キワノ・紫唐辛子・食用ホオズキ・紅オクラなど新鮮な野菜を年間150種類以上栽培している。
農業をする中で斬新なアイデアも。収穫した野菜の加工場として古民家を購入。改修するため、クラウドファンディングで参加型の「古民家再生プロジェクト」を行っている。支援者へのリターンには、野菜の詰め合わせやワークショップ参加権、畑に名前プレートを設置(お店など広告塔として利用できる)。その他にも、感謝の気持ちを込めて全力でおじきをしてくれるなどウィットに富んだ内容もある。(現在、募集は一旦終了)。江戸時代に建てられたという古民家は「必要な部分だけを改修して、大切に守っていきたい」と言う善積さん。人が集まれるような場所にしたいとも考えている。
丹波サイクリング協会に所属している善積さんは、自転車で丹波市の景色を楽しみながら休憩ポイントで畑の野菜や地元の食材を使ったランチが食べられる「BBQライド」などのイベントも開催している。詳しい内容は随時、インスタグラムやホームページで更新される。今後の活動に目が離せない。

agrizm No.16 株式会社 Seasonさん

福知山市三和町で農園を経営している株式会社Seasonさんは、化学肥料は使わず環境に優しい農法で万願寺とうがらしを栽培している。収穫の最盛期を迎え、代表の久保さんは専務と9名のスタッフと共に収穫・選別作業を行なっている。会社を設立した当初は、にんにくやトマトなどを栽培していた。しかしロスやコスト面から断念、その後、模索していく中で万願寺とうがらしの栽培を機に『持続可能な農業』を見出していった。

「大変や儲からないなどの農業のイメージを払拭したい」という久保さん。農業を始めたい人たちが新規就農でも十分生活していけるような形があればと考えている。そのひとつがワーキングホリデー制度の活用だ。現在、香港と台湾の方がスタッフとして働いている。また、味は良いのに規格外になっている不揃いの野菜を加工した商品開発をさまざまな企業とコラボし進めている。

万願寺とうがらしの生産や経営が安定していく中でやりたい栽培にも着手した。それが当初チャレンジしたトマトの栽培。品種はイタリアントマトで加工用にする。農業体験を開催してピザ窯でピザを焼いて食べる楽しいイベントなども企画中だ。地域の活性化と農業を繋ぎ、新しいことにチャレンジしていく久保さんは「子ども達のなりたい職業に『農業』が入る時代になったら、こんな嬉しいことはない」と語ってくれた。

農業が今よりもっと魅力ある職業となり、産業として成り立つ『農業の新しいカタチ』を創るため、久保さんは挑戦し続けている。

艶やかで肉厚があり、上品な味わいのSeasonさんの万願寺とうがらしは、直接、問い合わせても購入できる。

agrizm No.15 田辺あんしん農園さん

有機栽培で育てられる田辺あんしん農園さんの山崎の桃は、販売シーズンになると直売所に多くのお客さんが訪れる。しかし、桃園を始めた頃は大変な苦労があった。有機栽培にこだわり、丁寧に育てた桃が売れず、価格も安く叩かれることもあったという。除草剤を使わないため、年4回の草刈りをし、大きく甘い実が成るようにと蕾を摘み取る摘蕾作業や摘花作業、農薬をかけずに病害虫や日焼けから実を守るためにおこなう袋掛け作業など、デリケートな作物だけあって手間のかかる作業も多い。だが、こだわりを捨てなかった事で徐々に味や品質が認められるようになった。今では香りが強く美味しいと評判になり、贈答用としても人気商品となっている。

今年は例年にない早さの梅雨入りで、晴れ間に急いで袋掛けの作業となった。出荷が一番早い白鳳、上品な味わいの白桃など、全部で5種類。順調にいけば約3トン収穫できる。しかし、昨年は長雨による日照不足のため、出荷量が1−3にまで減ったという。丹念に育ててきた桃が袋内落下や枝で実が傷付いてしまい出荷できなくなってしまった。天候や気温はコントロールできない、自然相手の仕事は大変だ。それでも、今年も同じように、ひとつひとつ丁寧に袋掛けをし、丹精込めて育てている。もちろん、天候や気候が良くても、全てがうまく大きくなるわけではない。「毎年、待ってくれている人が大勢いる。それはすごくありがたい事、だからやめられないんです。今年は順調に育ってくれたら嬉しい。」と、田辺さんが優しい笑顔で話してくれた。

田辺あんしん農園さんの山崎の桃は7月20日頃から、桃園の近くにある直売所(9時〜売切れ次第閉店)で購入することができる。

agrizm No.14 お茶の三好園さん

綾部は、美味しいお茶を作る上で必要な朝霧が発生しやすく、気候条件に適しており、昔から良質なお茶が作られてきた。綾部市位田町にある「お茶の三好園」では収穫の最盛期を迎えている。新芽が伸び始め、茶摘みの時期には家族総出で収穫作業を行うという。栄養を蓄えながら寒い冬を乗り越えた新茶は、渋みが少なく香り豊かで旨みあるお茶が出来上がる。

お茶の三好園に嫁いできた福井泰子さんは、日本の文化であるお茶が綾部で作られている事をもっと知ってもらうため、いろんな事に挑戦している。そのひとつに農業士として農大研修生を受け入れ、農業の担い手の育成に取り組んでいる。他にも「のら×たん ゆらジェンヌ」のメンバーとして中丹農業を盛り上げるための活動を行なっている。また、おじいさんの代から茶葉を購入してくれている綾部や舞鶴の常連さんには手配りで届けている。「他のお茶じゃダメとか、飲み慣れた三好園さんとこのお茶が好きと言ってもらうと嬉しい。」と昔ながらのお客さんも大切にしている。古くから親しまれてきた『茶』の文化は、単純に喉を潤すというだけでなく、来客など『おもてなし』の気持ちを込めて淹れる、日本人にとって特別な存在なのだ。

今後の目標は「日本茶インストラクターの資格を取ること。日本茶は奥が深い!だからもっと勉強して知識を増やしたい。」と笑顔で話してくれた。

三好園のお茶は、彩菜館などでも購入することができる。(新茶は6月頃から販売予定)

agrizm No.13 ささゆりグループさん

古くから、こんにゃく芋の生産が盛んであった福知山市三和町川合。しかし近年では、生産量も減り、古くから受け継がれてきた「こんにゃく作り」の技術も消えようとしていた。そこで、同地区で以前から万願寺の収穫・選別を担っていた地元の「ささゆりグループ」が立ち上がり、5年前から川合の特産品として、こんにゃく「山ふぐ」の生産を始めた。

種芋から、収穫できるサイズのこんにゃく芋に育つまでは、実に3年以上かかるそうだ。その後、収穫した芋はゆっくり天日干しされる。また、こんにゃくには凝固剤を使用せず、もち米の藁を燃やし、川合の清らかな水に浸し、時間をかけて上澄みだけを掬い取った灰汁が使われる。「芋と灰汁の調合にも苦労した。少量でも配分が違うと食感が全然変わってしまう。」という。手間がかかるが、この灰汁を使うことでコシのある歯応えと臭みのない味わい深いこんにゃく「山ふぐ」に仕上がるのだ。

食べ方は、たっぷりのお湯で3分茹で冷水に取りしっかり冷やした後、薄く切ってお皿に盛る。シンプルに醤油も美味しいが、オススメは、ささゆりグループさんが作っている万願寺味噌をのせて粗塩とごま油でいただく方法。やってみると、これがまた美味しい。万願寺味噌が絶妙なアクセントとなり、こんにゃくの食感と味を引立てている。

現在は、農事組合法人かわいで水曜日の午前中「かわい野菜市」にて販売している他、三和荘でも購入することができる。

agrizm No.12 髙橋椎茸園さん

福知山市大江町の静かな山奥で原木椎茸を栽培している髙橋椎茸園さん。

公務員だった髙橋さんは定年退職を機に、新しいことにチャレンジするため、天ヶ峰の湧き水と自然豊かなこの場所で一から栽培を始めた。

椎茸栽培は未経験だったが研修などを経て、生まれ育った故郷で会社を設立。原木にタネコマと呼ばれる椎茸菌を打ち、伏せ込みをする。伏せ込みが終わると原木を起こし、支え合うような形に組んでいく。現在、約3千本の原木を育てている。この大変な作業を管理から全て一人で行なっているのだ。実家は、椎茸園のすぐ近くにあるため、事務所兼加工場として利用し、収穫した新鮮な椎茸を高品質のまま専用の機械で乾燥させることができる。出来上がった乾燥椎茸をパック詰や箱詰めにして出荷。天ヶ峰の寒暖差と豊かな湧き水に恵まれ育つ香り高い髙橋さんの椎茸は、福知山の柳町でスープにも使用されている。また「ふくちやまのエエもん」にも認定され、肉厚で濃厚な味わいが評判となり、京都の百貨店や東京の飲食店からも注文が来るようになった。

コロナ禍になるまでは、小学生が授業の一環で訪れ、髙橋さんにレクチャーを受けながら収穫作業を体験していた。自然に触れ合う機会が少なくなってきた子ども達にとっては貴重な経験となっている。原木で育つ椎茸なら尚更だ。「今年は雪がよく降ったので上質な椎茸がたくさん収穫できそう」と笑顔で語ってくれた。

agrizm No.11 農園ねずみのすもうさん

農園ねずみのすもうさんは、ご夫婦で水菜の周年栽培や伏見とうがらし、ロシア料理で有名なボルシチに使われるビーツなどを栽培している。京都市内から伊根町に家族で移住し、新規就農して今年で13年目を迎える。農業を始めるきっかけは、子どものアレルギーを治したいとの思いからだそうだ。

土壌に合った水菜を周年栽培する事で収入の軸をしっかり持ち、虫のつきやすい夏場でも低農薬に抑え有機肥料のみを使用し、体に優しい新鮮な野菜を栽培している。「農園ねずみのすもう」の由来は、昔話でも有名な絵本の題名から。"貧しくても優しい心を持って人に親切にすれば、いつかきっと幸せがやってくる"そのストーリーが大好きな奥様が決めた。また、ご夫婦は同級生で同じねずみ年だった事もあり、この名前に深い縁を感じたという。

数年前から6次化にも取り組み、スーパーにはあまり出回っていない栄養価が高く女性に人気の野菜『ビーツ』を加工し、ドレッシングや水煮缶にして販売。その手軽さからリピーターも増え、お取り寄せする方も多い。

今年からは、農園で収穫した野菜や地元食材を使った料理が食べられる『農家民宿』を始める準備も進めている。自然の中で焚き火が楽しめたり、海まで数分というのも魅力的だ。

「農業は黙々とする作業が多いけれど、いろんな方との繋がりを大切に、心豊かに生活する事を意識して、楽しく農業を続けたい」と話してくれた。