11年前に大阪から福知山市夜久野町へと移住し、秦栗園を経営している秦貴一郎さん。当初は果樹園をしようと京丹波町で土地を探していたところ、知り合いに誘われ夜久野町で栗園を始めることになった。
何もない所から始めた栗園には、現在1ヘクタールに8種類275本の栗の木が植えられている。これまで全ての木が順調に大きくなってきた訳ではなく、中には枯れてしまう木もあったが、その度に工夫しながら育ててきた。その一つが草生栽培で除草剤は使わない方法。草を生かすことで土が保湿され、微生物や虫などが棲み、豊かな土壌が作られていく。化学肥料に頼らずとも、自然に近い環境で病気に負けない強い栗が育つのだという。また、栗園を始めた頃から農薬を使用せず、収穫時の燻蒸処理や温湯処理も行っていない。虫が針程の小さな穴を開け卵を産み付けるのだが、その穴を見落とさないよう一つ一つ丁寧に選別している。更にその後、マイナス1℃で1ヶ月間氷蔵熟成することで糖度が増し、甘さが三倍にもなる。
そんな安全で安心して食べられる美味しい栗を提供するため、こだわり作られている秦さんの丹波くりは、京都府丹波くり品評会で知事賞受賞や福知山の「エエもん」に認定されるなど高い評価を受けている。
都会から田舎に移住し、新規就農した秦さんは、自然と向き合い、工夫を重ね、試行錯誤しながら美味しい丹波くりを育てている。
「農園はまだまだ完成していない。やることがいっぱいで忙しい!」と楽しそうに語ってくれた。