朝来市山東町で甘く大粒のイチゴとトマトを栽培している坪井農園さん。最初の5年ほどは青ネギの栽培をし、需要もあったことから農園の経営は順調だった。しかし、「もっと面白い(手をかければかけるほど違いがわかる)ものを育てたい」と思うようになり、トマト栽培に切り替えたという。
「マニアックな話になるけど微生物が・・・」と笑顔で話し始めた坪井さん。それは土にこだわり、化学肥料は使わず微生物と共生することで豊かな土壌作りに取り組んでいるということだった。大阪府堺市で美味しいトマトを栽培し、フランスにも出荷しているトマト農家さんに弟子入りし技術を教わった。手をかければかけるだけ味も質もどんどん変化し、やり甲斐も感じられたという。
トマト栽培のピークは6〜7月・12月〜1月と期間が開いてしまう。そこで冬場から5月下旬まで収穫可能なイチゴの栽培もスタートさせた。品種は、酸味がなく甘い『章姫』と上品な香りとジューシーな果肉が特徴の『かおり野』。ただ、普通のイチゴでは納得いかないのが坪井さん。大きさ・味・質の全てを兼ね備えた最高の一粒に仕上げるため、土壌や温度管理の徹底、さらに摘果作業で半分ほどに減らしている。そうすることで出荷数は減るが、ブランド力が付き、今では坪井農園さんのイチゴを目当てに購入する方が多い。朝来市ふるさと納税の返礼品にもなっており、全国へ届けている。また、朝来市の道の駅まほろばでも販売中。
今年からは新たにシャインマスカットの栽培も開始したという。坪井さんの探究心と確かな技術で育てられる収穫シーズンが楽しみだ。
agrizm No.23 坪井農園さん
2023年12月01日