福知山市大江町の静かな山奥で原木椎茸を栽培している髙橋椎茸園さん。
公務員だった髙橋さんは定年退職を機に、新しいことにチャレンジするため、天ヶ峰の湧き水と自然豊かなこの場所で一から栽培を始めた。
椎茸栽培は未経験だったが研修などを経て、生まれ育った故郷で会社を設立。原木にタネコマと呼ばれる椎茸菌を打ち、伏せ込みをする。伏せ込みが終わると原木を起こし、支え合うような形に組んでいく。現在、約3千本の原木を育てている。この大変な作業を管理から全て一人で行なっているのだ。実家は、椎茸園のすぐ近くにあるため、事務所兼加工場として利用し、収穫した新鮮な椎茸を高品質のまま専用の機械で乾燥させることができる。出来上がった乾燥椎茸をパック詰や箱詰めにして出荷。天ヶ峰の寒暖差と豊かな湧き水に恵まれ育つ香り高い髙橋さんの椎茸は、福知山の柳町でスープにも使用されている。また「ふくちやまのエエもん」にも認定され、肉厚で濃厚な味わいが評判となり、京都の百貨店や東京の飲食店からも注文が来るようになった。
コロナ禍になるまでは、小学生が授業の一環で訪れ、髙橋さんにレクチャーを受けながら収穫作業を体験していた。自然に触れ合う機会が少なくなってきた子ども達にとっては貴重な経験となっている。原木で育つ椎茸なら尚更だ。「今年は雪がよく降ったので上質な椎茸がたくさん収穫できそう」と笑顔で語ってくれた。